2013年10月3日木曜日

役に立つ中学数学「グラウンドにコートをつくろう」

以前、知り合いに頼まれて欠員補充のため1日だけイベント設営のアルバイトに行った事があります。
仕事内容はゲートボール大会の競技コートを作るというものでした。
広いグラウンドに12面のコートを作ります。炎天下の作業でなかなか大変な仕事です。

ただ作業自体はやり方がわかれば難しいものではありません。
ゲートボールコート作成用のガイドロープのようなものがあり、それを手順通りに張っていけば完成します。そんなツールがあるを知らなかったのでそこに驚きましたが、私が一番感心したのははじめに行った基準線を引く作業です。

目印のないただの広いグラウンドだったので適当に作っていっては12面のコートが歪んでしまいます。綺麗に並べるためまずは基準となる線を引く必要があるのです。
だいたい100m×50mぐらいの大きな直角の線です。

私は深く考えずに「そんな大きな直角どうやって作るんだろう?」とぼんやり思っていました。
狭い範囲で出した直角では図形が大きければ端っこではかなりずれている、何てことは容易に想像が出来ます。設営のプロだからそれようの道具でもあるのかな?ぐらいに考えていたのですが実際は違いました。

使ったのはグラウンド用(?)の長い巻尺3つだけです。
現場の責任者が仲間に対して「15、20、25でいこう」と指示を出していましたが、ぼんやり見ていた私はまだ何のことが分かっていませんでした。
そのままぼんやり見ていると巻尺を使い15m×20m×25mの三角形を作り出しました。この段階になってやっと気付いたのですから私もかなり思考停止してたと思います。
だって目の前でやっていたことはいつも生徒さんに教えている「三平方の定理」なんです。

各辺の長さが3:4:5の三角形を作ればそれは必然的に直角三角形となります。それを大きく、例えば今回のように15m:20m:25mで作れば広いグラウンドでも簡単に大きな直角を作図できると言うわけなのです。
結果、その基準線を元にコートを作りました。出来上がって分かったことは、この手法で作られたコートがだいぶ正確に完成していたと言うことです。パッと見て歪みもなく綺麗なものでした。

言われてみれば当たり前のことでしたが、実際の仕事現場で中学数学がそのまま使われていたことにとても感動してしまいました。
まあ、それと同時にそこに思い至らなかった自分がとても悔しかったですけど。

何のために勉強するのか、勉強が何の役に立つのかは誰しも一度は持つ疑問ではないでしょうか。それに対して具体的な答えを見つけるのは結構難しいです。

でもだからこそ今回改めて思いました、「何かに役立つからではなく、何かに役立たせるために勉強する」のだと。

どんな場面で役に立つかは分かりませんが、いろんな場面で役立たせることは出来るのかも知れません。そしてどう役立たせるかは自分次第。
実際の現場で役立たせられていなかった私が偉そうなことは言えませんが、お子さん達には是非そう思って勉強してもらいたいです。