2013年7月24日水曜日

参議院選が終わり「勝った」「負けた」と騒いでいますが…

ネット選挙と話題になった今回の参議院選挙ですが、違いは感じたでしょうか?正直私は選挙広報でだいたい満足してネットまでは見なかったので、何も感じませんでした。

それはさて置き、選挙が終わるとテレビ番組では「○○が勝った」とか「○○大敗」なんて言葉が飛び交います。毎度のことで特に気にしていなかったのですが、何故か今回はちょっとその言い回しが気になってしまいました。

そもそも選挙の勝ち負けとは何なんでしょう?

単純に考えれば当落でしょうか。
候補者からすれば他より多くの票を得て当選することを目指した活動をするので戦いと言えるかも知れません。人によっては落選することで無職になってしまい、国の前に自身の平和が脅かされてしまいますから必死の戦いでしょう。

また政党で考えれば議席数の増減や占有率でしょうか。
国の政策を実行に移すためには法案を通す必要があるので過半数以上の議席を確保することは大切なのでしょう。他の党を上回る議席を確保できれば勝ちというのも分かります。

ですが待てよ、と。

そもそも選挙とは代弁者を選ぶ制度なのではないでしょうか。
国民全員が集まって話し合いして何かを決めるなんて事は到底無理なので、代弁者を選び代わりに協議してもらい決めてもらうという制度だと思います。

そう考えれば選挙結果は現状の民意の集約であり、日本の縮図と言えます。見えづらいみんなの意見が一つの形になったと言ってもいいのかもしれません。

そうであるなら、どこの党が多いから勝ちでどこが少ないから負けというのはずいぶんと変な解釈に思えます。だって民意を集約しただけなんですから。

勝った負けたなんて言葉が出てくるのは数さえ取れば好きに出来るから数が全てなんだと言っているように聞こえてしまいました。

あくまで私達が託したのは代わりに話し合ってもらう事であり、好き勝手に何でも決めてもらうことではないと思います。

人数が多く声が大きければ通りやすいというのはどこでも同じなのかもしれませんが、議員さんが持つ価値は平等に同じはずです。たとえ国会の中では少数の意見でもその裏には何万人もの人の気持ちが込められているはず。
ただ数が多ければいいというのであれば代議士など選ばず毎回みんなで多数決すれば良いだけの話。そうしないのは話し合いが必要だとわかっているからなのではないでしょうか。

議員さんの任期からすると次の国政選挙は3年後だそうです。

政権奪還とかそんなことを一番大切な活動にせず、みんなが1人の代弁者として建設的な話し合いをしてもらいたいと思います。

まあ、そんな実際は理想論だけ言っていても仕方ないと思いますが、やっぱり理想は捨てちゃダメでしょう。

2013年7月18日木曜日

正しい塾の選び方 料金編(おまけ)

皆さんが塾で使っている教材に値段が書かれていないことにお気づきでしょうか?
本屋さんで売っている問題集や参考書には本の裏を見れば値段がありますが、塾の教材には大抵ありません。

今回はこの教材の話を少ししたいと思います。

料金編のはじめに色々な名目の料金が上乗せされる話をしましたが、その中でも「教材費」にご注意ください。
この教材費はどの項目よりもはるかに高額になるケースがあります。

だいぶ前のことですが私の勤めていた塾に説明を聞きに来てくれた方がいました。その方がまず私に尋ねてきたのが
「教材費はどれぐらいかかりますか?」
というものでした。
その時に私がいた塾では1教科当たり2~3000円のワークを購入してもらい1年間使うというスタイルだったのでその説明をしました。すると
「本当にそれだけですか?」
と続けてこられました。そこで通常授業とは別に夏期講習などする場合には別途かかることもあるのでその話もしたのですが、どうにも警戒している様子が変わらなかったのでこちらから
「何か気になる点でもありますか?」
と尋ね返すと
「実は前の塾では何十万もする教材を買うように言われたもので・・・」
それを聞いて私は絶句しました。
教材費が高いところがあるとは聞いていましたがそこまでとは。
そしてやっと保護者さんの心配が分かったのです。

当時の私は知らなかったのですが、塾の経営方針として「教材費で儲ける」という仕組みがあったのです。
なかなか上手い仕組みです。

「授業」という「形の無いサービス」よりも「教材」という「商品」の方が売りやすいということなのでしょう。
加えて塾は授業を売るもので教材は付随する経費という感覚があります。授業に必要なものを買うのであって、塾が教材で儲けようと思っているとは考えない方もいるようです。そして教材は本人が使うものなので本人が負担することにもそれほど抵抗はないのかも知れません。

ですが実際は上手くやれば教材はとても儲かるのです。

はじめに書いたように塾の教材には大抵値段の表示がありません。これは教育関係者にだけ卸すもので、書店にはないものだからです。そして塾が好きな値段で販売できるようにしている仕組みなのです。

別に悪いことだとは思いません。授業料を少しでも安く見せようという企業努力です。
ですがこちらまでそれに乗せられる必要はありません。
それに中には仕入れ値の何倍もの値段で教材を販売している塾もあるので、それには賛同しかねます。

そして注意しなければいけないのが、前述の何十万もする教材を売るような塾です。
このような塾は経営の本体が出版関連の場合があります。はじめから教材を売ることが目的の塾なのです。
別にそのやり方を批判するつもりは全くありませんが、突然にそんな高額な話をされると驚いてしまうでしょうから注意が必要です。
まあ、素晴らしい教材なのかもしれませんが数千円でも十分立派な教材はありますので何十万もかける必要はないかと私は思います。

また教材をあまり褒める塾も考えものです。
「お子様1人でも進められる教材です」という売り文句は講師の質が低いということの裏返しに感じます。

私自身も優良な教材は常に探していますが、あくまでも授業に使いやすいという基準で探しています。
自宅で取り組むのであれば1人で進められる教材は大切ですが、塾でそれが必要かというと疑問です。

塾選びの際には教材費も塾の大事な利益であるということと、どんな教材を使う塾が望ましいのかを考えるといいと思います。

2013年7月11日木曜日

正しい塾の選び方 料金編(塾側の視点)

今回は視点を少し変えて、塾側がどのようなことを考えているのか見てみましょう。それを知ることで授業料の本質が見えてくるかも知れません。

まず塾は営利団体ですので利益を出そうとします。それ自体は当然のことで何も悪いことではありません。問題は「利益」が「お子様のために」という塾が本来最も考えなければならない事柄より優先されてしまうことがあるということです。

塾が利益を上げるための基本構造は「人件費を少なく、授業料を多く」これにつきます。
もちろん経費を抑える等の事柄もありますがそれは企業経営にとっては当たり前のことであり特筆すべき内容はありません。要は商品(授業)でいかに利益が上げられるかが問題なのです。

塾にとって最も効率がよいのは講師1人が大勢の生徒さんを指導する方法です。一斉授業などがそれにあたります。
アルバイトの講師を使う場合は単価が決まっていますので、数人生徒さんがいれば人件費はだいたいまかなえます。それより増えた生徒さんは全て塾の利益です。一斉授業の場合、生徒数が増えても手間はほとんど変わりませんので塾としては席がある限り埋めたいと考えています。
別に悪いことではありません。ただ一斉授業はみんな学校で受けていますので、塾の授業にはそれ以上のものがなければなりません。学校の繰り返しのような内容では価値がないと言ってもいいでしょう。もし一斉授業を希望されるのであれば有名講師がいる予備校のような特別な授業をしてくれるところを探しましょう。そうでないと、利益集めの人数確保に使われるだけになってしまいます。

ですが結局のところ塾としては少ない講師で大勢のお子様を指導したいというのが本音なのです。
しかし最近は学校とは違うものを塾に求める意識が高くなっているで、個別スタイルの塾が増えてきました。個別スタイルについては「学習スタイル編」で詳しく書きましたのでご覧になっていただきたいと思いますが、ここに塾側の悩みが生じたのです。

「人件費を少なく、授業料を多く」の考え方からいくと1人の講師が大勢のお子様を指導できない個別スタイルでは1人の生徒さんから取る授業料を上げるしかありません。
それをそのままやっているのが家庭教師です。一斉授業が生徒数で利益を上げる部分を1人の生徒さんから取ることで成り立っていますので、その授業料は高額になりがちです。仕方のないことなのです。(まあ、全ての家庭教師の料金が適正価格かと言われれば疑問は残りますが)

本来であれば高額な授業料は敬遠されますが、不思議と「塾」と「家庭教師」には微妙な線引きがあり相場もそれぞれで成り立っています。そのため高額でも「家庭教師なら仕方ない」と思われて対立することなく別物として共存しているといえます。
不思議ですね、教室を用意しなくていい分だけ経費が掛からないと思うのですが高額で許されるのですから。

苦しいのは個別スタイルの塾です。こちらは塾としての相場が適用されてしまいます。個別スタイルなので一斉授業よりは高い料金設定に出来ますが、家庭教師ほどにしてしまうと誰も来てくれません。
そこで考え出されたと思われるのが1対複数の個別スタイルです。
1人分の授業料を少し高くして生徒数も1人ではなくすることで「人件費を少なく、授業料を多く」を何とか実現したのです。
色々工夫しているんですね。
ですがまだ安心できません。「個別」といいながら1対複数であることに理由が必要です。本当のことでも「利益確保のため」とは言えないものです。
そこで使われるのが「お子様が自分で考える時間も必要です」というセリフ。

決して嘘ではありません。
一方的に講師が教えるのではなくその内容を自分で確かめる時間は必要です。
ですが本来その「自分で考える時間」というのは「自習時間」と同義ではないということを忘れないでほしいと考えます。
一度聞いただけで全て出来てしまうお子様はまずいません。実際に自分でやってみてつまずいて、それを解消していくことで少しずつ身に付いていくのです。ですから「自分で考える時間」こそ講師は目を光らせていなければいけないのです。
つまずいたタイミングで的確なヒントを出す、考えているときには待つことも必要ですが場合によっては答えを教えてしまい次の類題を指示することも大切です。これが単なる自習時間になってしまうとつまずいても放置状態で、何も出来ず時間だけが浪費されます。
自分で的確に調べながら進められるお子様であればこんな問題は生じないかもしれませんが、自分に合わせて少し上を目指して学習する以上は自分だけでは解消できない問題が必ず出てきます。そのときこそ講師の助けが必要なのです。もしそれが必要ないのであればはじめから塾に行く必要などありません。

1対複数の個別スタイルが悪いといっているわけではありません。ですが塾や講師がよっぽど工夫しているところでない限り半分以上の時間は単なる自習になってしまうことを念頭においていただきたいと思います。
半分以上は自習だということを分かった上で選ばれるのであれば、その分の価値はあると思います。

ちなみに1対2の授業であれば単純に考えて1対1の授業の半分しか指導時間はありません。
指導時間だけで考えると「1対2の授業料2ヵ月分」=「1対1の授業料1か月分」ということになります。
1対複数のほうが授業料は安く見えますが、それが本当に安いのかは自身で判断することが大切です。

このような感じに塾側の考えをまとめてみました。
繰り返しになりますが塾は営利団体ですので利益を出さなくてはなりません。そのために工夫をするのは当然です。
利益をあげている塾が悪いわけでは決してありません。生徒さんだけが喜ぶ塾では潰れてしまいます。
利益を追求することが悪いのではなく、そのやり方が適正なのかを判断してください。

塾の説明を聞く際にはそれが「利益だけのため」なのか「利益とお子様のため」なのか考えながら聞くことをお勧めします。

2013年7月3日水曜日

学校の勉強は何の役に立つのでしょうか?

だいぶ前だったと思いますがニュースで「船便のコンテナに隠れていた密航者が大量に死亡した」というものを見ました。
密航は犯罪ですし、この内容には同情する人もしない人もいるでしょう。ですが今回その話は置いておきたいと思います。

私が注目したのは死亡理由です。
ニュースによると熱中症だったようです。
船便で運ばれる際に運悪く密航者たちの乗るコンテナが最上段に詰まれてしまい太陽の光を浴びて中が高温になったことによるものだそうですが、死亡者を増やしたのにはコンテナ内で密航者がとったある行動が大きく関わっていました。
それはいわゆる「打ち水」です。

暑さに耐えかねた1人が持っていた水をコンテナ内に撒いたのです。
私たちの感覚でも暑い日に打ち水をするのは理解できると思います。気化熱が奪われることによって涼しくなるというのは結構誰でも知っていることです。
ですがコンテナ内ではそうなりませんでした。何故でしょう?

実はこの問題、中学理科の知識があれば分かってしまいます。
ポイントは「湿度」でした。

高温のコンテナ内で撒かれた水はすぐに蒸発して気化熱を奪います。本来ならこれで少し涼しくなって助かるのですが、密閉度の高いコンテナ内では空気が入れ替わらないので空気中の水分量も上げてしまいます。
こうなるとピンチです。中学で習った飽和水蒸気量によると空気中に溶けることの出来る水の量は決まっています。湿度は100%が限界で、そうなってしまうと水は蒸発できません。
つまりコンテナ内に水を撒くことで湿度を上げてしまい、体の汗が蒸発し難くなってしまったため体温を下げれず熱中症になってしまったということです。

一見すると良さそうな打ち水ですが状況によっては危険だということです。
そしてそれは中学の知識で充分に考えられるということが私の中でこのニュースを興味深いものにしました。

コンテナで密航などという状況に私達が出くわすことはまずないでしょうが、密閉空間で暑さに耐えることはあるかもしれません。
私達が学校で習うことは何の役に立つのか分からないことも多くありますが、決して無駄ではないと私は考えます。
せっかく学校に行くのですからしっかり役立ててやりましょう。