2013年7月3日水曜日

学校の勉強は何の役に立つのでしょうか?

だいぶ前だったと思いますがニュースで「船便のコンテナに隠れていた密航者が大量に死亡した」というものを見ました。
密航は犯罪ですし、この内容には同情する人もしない人もいるでしょう。ですが今回その話は置いておきたいと思います。

私が注目したのは死亡理由です。
ニュースによると熱中症だったようです。
船便で運ばれる際に運悪く密航者たちの乗るコンテナが最上段に詰まれてしまい太陽の光を浴びて中が高温になったことによるものだそうですが、死亡者を増やしたのにはコンテナ内で密航者がとったある行動が大きく関わっていました。
それはいわゆる「打ち水」です。

暑さに耐えかねた1人が持っていた水をコンテナ内に撒いたのです。
私たちの感覚でも暑い日に打ち水をするのは理解できると思います。気化熱が奪われることによって涼しくなるというのは結構誰でも知っていることです。
ですがコンテナ内ではそうなりませんでした。何故でしょう?

実はこの問題、中学理科の知識があれば分かってしまいます。
ポイントは「湿度」でした。

高温のコンテナ内で撒かれた水はすぐに蒸発して気化熱を奪います。本来ならこれで少し涼しくなって助かるのですが、密閉度の高いコンテナ内では空気が入れ替わらないので空気中の水分量も上げてしまいます。
こうなるとピンチです。中学で習った飽和水蒸気量によると空気中に溶けることの出来る水の量は決まっています。湿度は100%が限界で、そうなってしまうと水は蒸発できません。
つまりコンテナ内に水を撒くことで湿度を上げてしまい、体の汗が蒸発し難くなってしまったため体温を下げれず熱中症になってしまったということです。

一見すると良さそうな打ち水ですが状況によっては危険だということです。
そしてそれは中学の知識で充分に考えられるということが私の中でこのニュースを興味深いものにしました。

コンテナで密航などという状況に私達が出くわすことはまずないでしょうが、密閉空間で暑さに耐えることはあるかもしれません。
私達が学校で習うことは何の役に立つのか分からないことも多くありますが、決して無駄ではないと私は考えます。
せっかく学校に行くのですからしっかり役立ててやりましょう。