2013年11月8日金曜日

漫画のススメ

漫画というとあまりいい顔をされない保護者さんもいらっしゃいますが、そういわずちょっと聞いてください。

先日やっていたテレビ番組の中で脳科学者の茂木さんが「漫画は脳に良い」と断言していました。
まず漫画の方が文字だけに比べて1分間に得られる情報量が倍であること、また記憶に定着しやすいことなどを挙げていました。加えて様々な絵の表現から心情や状況を読み取ったり、静止画から動きを感じ取るなどすることは脳の刺激としてとても良いとの事です。
もちろん脳を刺激しただけで知らない知識が入ってくるわけではありませんので勉強もしなければいけません。ですが漫画を読むことはそれ自体で脳トレになるということのようです。なおクレームがある場合は茂木さんにお願いします、全部引き受けると仰ってましたので。

まあ、そういうことですのでここからは気兼ねなく漫画を紹介したいと思います。

私自身が漫画好きなので結構色々と読むのですが、その中でどうしても学生の皆さんに紹介したい作品があります。もう少し詳しく言うならある作家さんの一連の作品群と言った方がいいのかもしれません。

著者は、「あさりよしとお」氏です。この人の描く科学漫画はとても素晴らしいです。

まず「まんがサイエンス」シリーズ。
元々は学研の科学にて連載されていた作品ですのでメインターゲットは小学生です。ですから小学生でも分かるように描かれているのですが決して子供だましはせず、真摯に作られた作品で大人が読んでも物足りないと言うことはまずありません。テーマも最近ホットな放射能から、身近な電池だったり体の免疫だったりと様々です。
現在までに14巻発売されていますが、私は特に2巻の「ロケットの作り方おしえます」が大好きです。基本的には1話に1テーマ完結で描かれているのですが、これは12話使ってロケットに迫るちょっとした長編でした。私はこれを小学生のときに読み、凄く影響を受けました。私が理系に進学する一因になったとも思っています。
というのもとにかく科学が楽しいのです。当たり前と思っていることに疑問を発見し、それを科学で解き明かしていくお話は私の中では冒険物語のようにワクワクするものでした。
理科嫌いのお子さんもいるようですが、学校でつまらなくなる前にこれを読むことはとても意味かあると思います。

次は「なつのロケット」です。
小学生が夏休みの自由研究でロケットを作るお話です。1巻完結です。
普通に考えれば無理です。でも本作では本物のロケットエンジニアが協力して実現可能かもしれないロケットを考え、それをベースに話が展開します。もちろんフィクションですが科学を分からない人が描いた荒唐無稽な話ではないのでとても面白いです。
ちなみに作者はこの話をきっかけに「なつのロケット団」を結成して本当にロケットを作っています。まだ完成してはいないようですが、かなり本気の活動でこちらも面白いです。漫画ではありませんがその様子は「宇宙へ行きたくて液体燃料ロケットをDIYしてみた: 実録なつのロケット団」に記されています。

そしてそして「小惑星に挑む」です。
話題となった小惑星探査衛星はやぶさのお話を1冊にまとめたものです。
宇宙でたまたまはやぶさを見つけた異星人2人の視点で描かれた、はやぶさモノとしてはちょっと変わった作品です。ですがその設定のおかげではやぶさを科学的に掘り下げることが出来てとても面白いものになっています。かなり難解な話も出てくるので小学生には難しいかも知れませんがそれでも読んで欲しいと思える作品です。

最後に「アステロイド・マイナーズ」。
現在は2巻まで発売していますが、続くのかは不明です。基本的にオムニバスですのでどこから読んでも一応大丈夫な作品です。
内容は宇宙に進出していく近未来の人間を描いた、宇宙日常モノです。人間が宇宙に乗り出していくことがいかに困難で苦しいことなのかリアルに描かれており、SFで知っているような宇宙の常識を打ち砕いてくれる本物の科学漫画です。
宇宙に出るというのは地球での常識が通じなくなるということ、それを見ることで自分達の生活を見つめ直すことも出来る良作です。こちらも内容はかなり難しいですが多くの人に読んでもらいたいです。

他にもまだお勧めはあるのですが、ひとまずはここまでにしておきます。
今回紹介したのは科学モノばかりです。是非お子さんに読ませてあげて、理科嫌いな子などいない日本にしてほしいと思います。
科学も漫画も好きな講師からの願いでした。