2013年12月19日木曜日

顎の治療は続きます

前回の続きです。
顎を骨折した私の治療がはじまります。

まず骨折した日の夜中に父が急遽やってきました。さすがに顎骨折は家族にも大ニュースだったようです。今後の治療も考えて車で来てくれました。この後のことを考えると非常にありがたい判断でした。

骨折の翌日、私は父の車で病院に向かいました。一応京都に住んでいたのですが中心からはだいぶ離れたところだったので電車を乗りついて行かずにすんだのはとても助かりました。

はじめは手術が必要だとの事だったので福井に帰って治療するつもりだったのですが、父の知り合いの口腔外科の医師に相談したところ「折角だから帰る前にまず京大病院で見てもらうと良い」とのアドバイスをもらったのでそちらに行くことにしました。

病院に行くとまず予想もしていなかったことを提案されてしまいました。
「学生の授業に使いたいのですが良いですか?」
説明によると教授監督のもとで医学部生が診察の実習をするということだそうです。
ちなみに父が「顎の骨折は珍しいのですか?」とたずねると「珍しいほどではないがしょっちゅう来るわけでもないですから」との事です。
まあ特に断る理由も無かったので引き受けましたが、そこから学生さんを招集したようでかなり待たされる羽目になってしまったのは誤算でした。

長らく待って診察室に通されると学生さんが10人前後いました。やめておけば良かったかとも思いましたが、今更遅いので諦めます。
診察は奥で教授が見守りながら学生さんが行いました。大勢に注目されて恥ずかしい状況ですが、まだ顎でよかったとも思います。これがもっと他人に見せるのが恥ずかしい場所の怪我だったりしたら・・・
一通り診察が終わると教授が出てきて学生さんに説明を始めます。今回の怪我がどういうもので通常どういうことを考えるかなどプチ授業開始です。私も流れから学生さんに混ざって聞きました。
それによると今回の骨の折れ方は通常とはちょっと違ったようです。細かいことは省きますが、私は理想的なサンプルではなかったようです。別に文句も言われませんでしたが、なぜかちょっとだけ申し訳ない気分でした。

ただ、多少幸運なことに骨は折れていますがズレが少ないようで手術の必要はないと分かりました。本当に良かったです。
もちろんただ放っておくわけにもいきませんが、顎ですのでギブスをするわけにもいきません。そこで行われたのが『顎間固定』という治療です。
歯の根元に針金を巻きつけてそれを上下で縛り口が全く動かないようにする、というずいぶんな治療でした。

診察が終わって処置に入ると学生さんは退場して、医師も代わりました。ここではベテランそうな医師と若手そうな医師のコンビがやってきました。やはり大学の附属病院ですね。処置の実技実習のような雰囲気でした。
医師の腕前がどうだったのかは分かりませんが、この治療は結構痛かったです。
まず歯の根元の隙間が無いようなところに無理矢理針金を通すので口の中は血だらけです。途中で何度もうがいをしましたが、うがい用のコップには血でできた私のキスマークがくっきりついていたのをよく覚えています。

そんなこんなで処置が終わり一安心といきたいところですが、辛いのはここからでした。
歯を上下で縛っているので口が全く開きません。それどころかうっかり開けようとすると縛られている歯に激痛が走ります。手術を回避できたのは良かったですが、それでも大変なことになってしまったと改めて感じる瞬間でした。

治療が終わると帰宅です。(ちなみに学生さんの実習に協力したということで今回の治療費はほぼタダになりました、ラッキー?)ひょっとしたら入院もあるかと思っていましたが、何のことはなく普通に帰されました。帰れるのは良かったのですが全く口が開かない私はこれからしばらく普通の食事が出来ません。
ではどうやって命を繋いでいたのかというと、歯の隙間からカロリーメイトを飲むという方法です。
病院では「流動食を出しましょうか」と言われましたが「カロリーメイトとどう違うのですか?」と尋ねると「流動食のほうがマズイ!」とだけ言われたのでカロリーメイトにした次第です。

そんな訳で顎の固定が取れるまでのおよそ1週間はまともな食事も出来ず、その後も硬いものが噛めないなど色々と苦労しましたが、これまた今回も話が長くなってしまったので、その話はまた次の機会があったらということにしたいと思います。

特にオチもヤマも無い話、もし読んでくれた人がいたとしたらありがとうございます。